フランスの田舎道を走る

時：２００２年６月

所：フランス共和国

バイク：ＴＷ１２５×２

　

フランスへ行こう！

女房と二人でちょっと海外を走ってみようかと言う事で、 いろいろ候補地を探したんですが、 パリでのレンタバイクの手配をBANZAI（リンクのページ参照）で頼める事が分かり、 一も二もなくフランスに決定しました。あぁ日本から予約が出来ると楽だ。 ルートはいろいろ考えられるけど、５日間でパリからブルゴーニュ、 それからロワールのお城を見て、ヴェルサイユへ寄ってパリへ帰る、というあたりで意見が一致。

バイクは諸般の事情によりＴＷ１２５を２台手配して貰いましたが、 今後行かれる方はもう少し大きなバイクにする方がいいでしょう。 パリから脱出するには高速道路にも乗れたほうが便利ですし、 田舎道でも車はビュンビュン飛ばしてますから。 最も、１２５には１２５なりの楽しみ方があるのはバイク乗りにはご承知の通り。 然程距離は走らず、ゆっくりとパリ近郊の田舎道を回って来ました。 格安航空券は浜松のＨＩＳで購入しましたが、関空発は成田便より３万円以上安かった。

６月１日、パリ到着

６月１日夕方にシャルル・ド・ゴール空港に到着。 入国ゲート出口横のイクスチェンジャーでユーロのＴＣを換金すると、 コミッションを取られた。なんぼかはユーロの現金を持っておくべきだった。

「地球の迷い方」に「サンミッシェル界隈には安ホテルが多い」とあったので、 今夜の宿を探すべく、まずＲＥＲ（鉄道）でサンミッシェル・ノートルダムに行く事にする。 ところが最寄のＲＥＲの駅は閉鎖されていて、５番のシャトルバスでどこそこへ行け、 てな張り紙が出ている。指示どおり辿るとちゃんと駅に付き、快速列車に乗れた。 サンミッシェルに付いたのは夜８時頃だったが、まだまだ明るい。 街には人が溢れていて大変な賑わい。 ５軒程ホテルを回ってようやくダブルの空き部屋を見つける。３つ星で一泊１２０ユーロ、 ちょっと高いなぁ。

６月２日、ビノシュを探せ

今日はレンタバイク屋が閉まっているので、メトロ（地下鉄）と徒歩でのパリ見物。 ノートルダム寺院だの、オルセー美術館だの、サクレ・クール聖堂だの、 いかにも観光客が行きそうな所をのんびり見て回る。 「おぉっここがポン・ヌフ橋かっ！ジュリエット・ビノシュはどこにいてんのや？」 レンタバイク屋は凱旋門のすぐ近くなので、 下見も兼ねて凱旋門にも寄り、シャンゼリゼ通りをぶらつく。 ワインをたらふく飲んで寝て、ちょっと風邪を引いてしまった。

６月３日、さんざんな初日

朝起きたらなんと雨だ。しかも微熱が出ている。 ダブルパンチにもめげず地下鉄で、バイク屋のあるシャルル・ドゴール広場へ向かう。 Holiday Bikesというレンタバイク屋はまだ若いカップルがやっていて、 ＴＷ１２５でサンスやロワールに行くと言ったら随分驚かれた。なんで？ 契約を済ませ、道を教えてもらい、１１時頃出発。幸い雨はほぼあがっていた。 今日は出来ればブルゴーニュのオーセール、 最悪でもサンスまでは行くつもり。 ペリフェリクという環状道路に乗り、ポルト・デ・オルレアンで降り、国道Ｎ６に乗れ、 Ａ６（高速道路）には１２５では乗れないから気をつけろ、との事。

順調にペリフェリクに乗り、ポルト・デ・オルレアンで降りたものの、 早くも国道Ｎ６が分からない。人に聞きまくってようやく探し出し、どんどん進む。 やがて標識が無くなり、どうも道が心細くなってきて、 さらにはどこを走ってるのか分からなくなった。 Ａ６等の高速道路の入り口はやたらあるんだが、一般道は皆目見当がつかない。 迷いに迷い、埒があかないので、まず昼食休憩を取ることにする。

ところが昼食をとったレストランの直ぐ前に、国道Ｎ７（Evry方面)はこっち、 みたいな標識を発見。地図によるとＮ７もフォンテーヌブローに行っていて、 そのあたりでＮ６と合流するはず。という事で昼食後、Ｎ７を南下する事にした。

しばらく走るとオルリー空港の真下を横切った。えぇーまだこんな所なの？ Evryまでとろとろ走り、ロータリーを過ぎたあたりで、どうも道が心細くなり、 引き返す。これが大失敗だったのだが、この時点では知る由も無い。 引き返してうっかりＮ１０４に乗ってしまい、 機嫌よく走ってるとメッス方面などというとんでも無い標識に出くわす。

これはおかしい、と引き返すと、今度は何時の間にか、待望のＮ６に乗っている。 なんやねんこの道は。しかし我々の向かってるのはパリ方向（！）だった。 中央分離帯があり簡単にはＵターンも出来ない。かなり走ってからターンして、 今度こそと勢い込んで走っていると、やがてＮ６はＡ５（つまり高速道路） に吸い込まれて消えてしまった。茫然自失する私達。

さすがに二人ともガッカリし、さらに私は微熱で疲れも出たので、 もうこの辺りのホテルに泊まる事にする。 時刻は夕方の５時すぎ、まだパリからさほど離れていない。 サンスどころかフォンテーヌブローまでもまだまだ先だ。 但したまたま見つけたホテルは郊外のひっそりした街のはずれで、 思いのほか快適だった。Lieusaintという村を散歩して大いに気分も落ち着き、 またまたワインを一本あけて明日からの巻き返しを誓う二人であった。

６月４日、絶好調

朝起きるとホテルの前の田舎道に、意外なほど通勤の車がひしめいている。 今日はもう開き直ってもう一度Everyの街に戻り、 昨日引き返した道を直進するより他に無いだろう、という事で意見が一致。 適当に走ってるとＮ１０４の乗り口に出た。EvryでＮ１０４を降り、 まんまと昨日引き返した道に復帰、なんと３００ｍ先に、 フォンテーヌブローへの表示があったのだった。

Ｎ７を快調に下ってフォンテーヌブローに到着。 ２度ほど迷いかけるが、サンスへ向かうＮ６に合流する事が出来た。 サンスに向かう道は誠に快適で、しっとりと冷たく清んだ空気の中、 森を抜け麦畑を抜け、落ち着いた風景を見ながらすいすい進む。 やがて標識に沿ってＮ７を離れ、午後１時、ようよう憧れのサンスに着いた。 サンスの中央部にある大聖堂の横のレストランで、ゆっくりと昼食休憩。

ここまでたっぷり時間を食ってしまったので、予定のオーセール、 ブールジュと回るのを諦め、オルレアンにショートカットしようと女房が提案、 私もすんなりこの案に乗る。サンスからオルレアンまでは国道Ｎ６０で僅か１２０Ｋｍ， 普通に走って楽勝に着く筈だ。大聖堂からちょっと来た道を戻ると、オルレアンへの表示があり、 くねくね走ってあっさりとＮ６０に乗る事が出来た。

後は３時間、１２５ｃｃのバイクらしく、田舎道をゆったりのんびり走る。 車は１００ｋｍほどで飛ばしているけど、 皆大きく我々から間を取って追い越して行ってくれる。 気分は最高で、いつしか微熱も下がってしまった。

５時半頃オルレアンに着いた。Centreの表示を追って大聖堂のあたりまで来て、 ホテルを探す。今日も４件目にやっと空室が見つかる。２つ星のダブルで４５ユーロ、 田舎はパリよりずっと安くなる。 カルフールがすぐ前なので、野菜だのビールだの買い込んでホテルの部屋で食事。 またまた酔っ払って寝る。

６月５日、大ピンチ

朝起きたら雨である。しかもかなりの雨量である。 今日はオルレアンから最寄のシャンボール城などを回る予定で、 １００Ｋｍ程度しか走らないつもりだが、それにしても大した雨だ。 ９時頃まで待ったがやみそうに無いので、仕方なく合羽を着込んで走り出す。

Ｎ１５２号に沿ってシャンボール城に向かう。 １５２号へはブロワへの標識をフォローして走れば自然に乗れた。 嬉しい。道路標識とはこうでなくちゃいけない。 小一時間ほど走ってMerという集落に到着、ここでシャンボール行きの標識を発見、 田舎道の支線に分け入る。

しばらく走ると門をくぐり、さらに森の中を結構走ると忽然と城が現れた。 かっこいい！適当にバイクを停めると、颯爽とした婦人騎馬警官に「そこダメ」 と言われてしまった。正規の場所に停めて城に入場。係りの人達は皆「雨で大変ね」 みたいな事を言ってくれているようだ。

城はでかく広くたっぷり２時間ほど見て回る。見終わるといよいよ雨が凄まじく、 よくこんなに空に水が溜まってたなとあきれる程の豪雨になっている。 天気がよければ他の城も２，３軒ハシゴするつもりだったけど、 さすがにもう満腹という事で、再びオルレアンに帰る事にする。

豪雨の中、気温も１４度程で走るのは目茶寒い。１時過ぎに早くもオルレアンに戻り、 あらためてホテルを取り、シャワーを浴びるも二人とも体は冷え切っている。 しばらく昼寝し、夕食をとった後、女房の奴が発熱した。 腹も冷えて痛むらしい。もう薬局も閉まっているので、手持ちの薬を飲ませたが、 熱はどんどん上がるようだ。これは困った弱ったぞ。

６月６日、奇跡のお巡りさん

朝起きると女房の熱がかなり下がっていた。があまり寝ていないらしい。 明日にはバイクを返さなければならないが、ここで一日寝ていてもいい。 どうする？と聞くと、まず歩いてオルレアンの大聖堂を見に行くと言う。 それでしんどくなければ、パリ方面へ走る、との事。天候もすっかり良くなった。

大聖堂まではホテルから歩いて１０分ほどで、パリのノートルダム寺院に匹敵するような、 堂々たる建物だ。外から見ただけで満足してホテルへ戻る。 女房に意思をただすと、走れるという。 そこで、まず国道Ｎ２０号線で８０Ｋｍほど北のEtampesへ行き、改めて判断する事にする。

Ｎ２０はホテルのすぐ斜め前をかすめているので、 なんの問題も無くEtampesというかパリ方面に向かえた。 まず給油。フランスでは給油はすべて自分で行う。空いている給油棟で勝手に給油し、 店番の人に給油棟の番号を言ってお金を払う。 ガソリンはレンタバイク屋に無鉛９５％を指定されてたので、 Sans Plomb 95というのを入れる。 ほどなく郊外に出て、ばかっ広い麦畑の中、空気は冷たいが快適な走りを楽しむ。 ４０Ｋｍ走って休憩をとり、さらに４０ＫｍでEtampesに到着、女房はまだまだ走れるので、 当初の予定通りヴェルサイユへ行こうと言う。わーいそうしよう。

Etampesを過ぎて北上、Ｎ１０４に乗り換えてヴェルサイユを目指す。 あと多分２，３Ｋｍというところまで来て、またしてもＮ１０４が高速道路に吸い込まれてしまった。 あわてて降りると何故かブティック・モールの駐車場の中に突入してしまう。 ちょうどお昼頃だったので、モール内で昼食休憩を取ることにする。

たっぷり休憩して、ヴェルサイユへの標識を発見、フォローして走り出す。 が、どうもこの道も高速道路に入ってしまうみたい。逡巡しているとその時、 我々に気付いたスクータのお巡りさんが寄って来た。 彼はヴェルサイユへ抜ける道を事細かに教えてくれ、親切にもこの界隈の細かい地図までくれた。 彼の言う通り走っていると、ほんの３Ｋｍほどでドンピシャリ、ヴェルサイユ宮殿の前に出た。 なんとありがたい。

宮殿には向かって左側に巨大な有料駐車場があるが、 駐車場の入り口のゲートのところにチャリンコ置き場があり、 ゲートの管理人に聞くとそこはタダとの事。 荷物を背負って巨大宮殿を見学する。

病み上がりの女房はもちろん、僕も疲れたので、今日はヴェルサイユに泊まる事にする。 ２軒目で２つ星のいいホテルに空きを発見。

６月７日、無事終了

今日でバイクを返さなければならないが、 ヴェルサイユからパリまではほんの２０Ｋｍほど。Ｎ１０をだらだらと走ると、 ほどなく高層ビル群が見えた。そんなのパリのどこにあったんだろう。 やがて遠くにエッフェル塔を確認、パリ市内に突入する。 道に迷ったところで人に聞けば、なんとそこはちょうどペリフェリクの入り口だった。 早速ペリフェリクに乗り、Fosh通りに出れば凱旋門が見えた。嬉しい！ １１時過ぎ、バイク屋に無傷のバイクを無事返却。

以降はまたまたサン・ミッシェルへ戻り、先日とは違うホテルを取り、 女房は買い物へ、僕は映画へ。最後の夕食はとどめのワインとでんでん虫で締め、 翌８日昼の便で帰る。

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フランス人は英語を知っていても喋らないとか、お高いとか、 アジア人には冷たいとか、パリは物騒だとか、いろんなネガティブな噂を聞いていたんですが、 とんでもない、道を聞けば皆親切に一生懸命教えてくれるし、パリは僕達の印象では安全だったし、 皆非常に暖かく迎えてくれました。僕は思いのほかこの国、 そしてパリという街が気に入ってしまいました。元々ミーハーやもんね。 ツーリングというにはあまり走ってませんが、我々夫婦としては満足できる旅でした。 欧州にハマるかも知れない・・・