ベトナム・ツーリングの話
時：２０００年２月下旬―３月上旬
所：ベトナム社会主義共和国
バイク：ANGEL80,CITI,WAVE,DREAM2
今回はツーリングと言うほど大層なものではなくて、
小さなバイクでホーチミン市からクチのトンネルまでの往復と、ダラット周辺の高原、
さらにダラットからファンランまでの往復の、日帰りツーリング３本立てです。
バイク天国ベトナム
ホーチミン市やダラットなど、
ベトナムの町では小さなバイクのレンタル屋が何軒かあるとの噂を聞き、
今回の旅行先はベトナムに決定。ＳＥＲＯＷ乗りの女房は海外ツーリングは始めてだけど、
スーパーカブ位なら乗れるだろうと言う事で、軽い気持ちで出発。
出来る事ならホーチミンからファンティエット、ファンラン、ダラットと回るつもりでしたけど、
続けてバイクを借りるには色々問題があって、結局一日毎のレンタルになりました。
さて実際にベトナムに来てみると、ホーチミン市内のバイクの多さに唖然。
道路を横断できない程のバイクの洪水。本田宗一郎がこれを見たらさぞ喜んだだろうねー。
こりゃ大変そうですよ。
クチのトンネルへ
噂どおりファングーラオ通りには何軒かレンタバイク屋があって、
８０−１００ｃｃ程度のバイクは借りられるんだけど、パスポートを預けるか、
さもなくば１台に付き１０００米ドルの保証金を置いていくかしなきゃならず、
協議の結果ダラットへの遠征はあっさり諦め、ホーチミンを基点に、
まずはクチのトンネルまで軽く走ってみようと言う事に落ち着いた。
借りれたのはHONDA CITIと、もうひとつAngel80という聞いた事の無いバイク。
レンタル料は１台１日６米ドル。
で、１０時丁度に８月革命通りをクチ目指して走り出したものの、
津波のようなバイク、車、チャリンコの列を掻き分けるのに必死。
さらには標識もあまりないので道が良く分からず、
道行く人にその都度教えてもらってようやく２２号線らしき道路に出る。
しかし走れども走れども混雑は緩和されず、距離にすればわずか７０ｋｍのクチまでの間、
２時間半ほど神経をすり減らしながら、死傷者を出さないようにひたすら我慢の走り。
クチの町を抜けると、トンネルまで２２ｋｍの巨大な看板が出ているので、
ようやく２２号線の混雑を離れ、のどかな田園地帯を快適に走る。
これがアジアのツーリングの楽しさ。気温は思った程暑くなく、道路状態も悪くなく、
３０分ほどでトンネルに着く。
クチのトンネルはベトナム戦争時、南ベトナム民族解放戦線（いわゆるベトコン）によって、
２５０Kmも掘られたゲリラ戦用のトンネルで、
今は観光用に数メートルづつあちこちもぐって作戦室だの手術室だのが見学できる。
しかしあんなトンネルにこもって戦うとは、
さすがに日本が負けたあのアメリカ軍に勝っただけの事はあって、大した根性だ。
帰りは同じ道をピストンで帰る事になるが、２２号線に戻るやいなや一天俄にかき曇り、
滝のようなスコールと強風に見舞われる。大変だが、スコールの時はバイクの交通量がずっと減るので、
かえって安心でもある。来た道を正確に覚えておいて、迷わず帰り着いたのが１７時３０分。
２００ｋｍ程の走行なんですけど、もうクタクタ。相談の上、
ホーチミン市周辺をこれ以上走るのはやんぴ、翌日は長距離バスでダラットに向かう事にした。
ファングーラオ通りのベジタリアン・レストランで食事、安くてめちゃおいしい。
そのまま近所のホテルへ飛び込む。
長距離バスでダラットへ
今日は移動日。まずベンタイン市場から、
バスでミエンドン・バス・ターミナルへ向かう事になる。料金5,000VND.
紙にMienDongと書いておいて、市場前のバス乗り場にいる人やら、
運転手やら車掌やらに見せて回ったら、降りるべきバス停につけば皆が教えてくれた。
あ、これがバスに乗るコツなんや。
ミエンドンからは大型の長距離バスでダラットへ向かう。料金46,000VND.
後で書くが大型の方がクーラーも効いてるしゆったり出来る。
停留所で売りに来たオレンジがやたら美味い。
途中一回の食事休憩を挟んで７時間でダラットのターミナルに着く。
ターミナルからはバイクタクシー5,000VND. でダラットの町中へ運んでもらう。
市場横の大きなホテルに泊まる。
夜は映画館に入る。入場料4,000VNDと安い。その後カフェで一服。
女房がミルク入りコーヒーを頼んだのに、何故かブラック・コーヒーが出てきた。
まぁいいか、と飲んでたら、コーヒーの下からミルクのカタマリが出現。
ダラット周辺をバイクで回る
前日の夜フロントに申し込んでおいたら、朝７時半にはレンタバイク
（HONDA DREAM2とWAVE）が届いた。レンタル料は一台一日90,000VND.で、ホーチミン市とほぼ同じ。
今日はダラットの町中や、周辺の高原を気の向くままに走る事にする。大聖堂を見た後、南のブレン滝へ。
さらに北方のラット村へ。さらに愛の盆地（恥ずかしい名前・・・）を回り、南東の隣村TriMatへ。
道行く人たちには私たちが着けているスキー用のゴーグルが珍しくて仕方ないらしい。
結局９時間程走り回り、夕方またもクタクタになってホテルへ戻る。
夜は床屋に行く。HOT TOC という看板が男性用の床屋だ。
待合室にはナショナルのＤＶＤデッキが置いてあり、
アメリカ映画がベトナム語字幕付きで見れる。散髪料15,000VND.
ファンランまでの往復ツーリング
翌日は曇り空の下、ファンランまでの日帰りツーリング。またまた朝から同じバイクを借り、
さっそく２０号線をファンランに向かう。朝の高原には霧が出ていて、
ジャケットの上から合羽を着込んでいてもなお寒い。
しかし道路状態はまずまずで、急なワインディングをクネクネとひたすら下っていく。
女房はここでエリマキトカゲみたいなものが道路を横切ったと主張している。私は見なかった。
２時間半程で山から下り、平野部に着くと気温もぐっと上がり、合羽もジャケットも脱いで走る。
道幅も広く舗装も良くなり、陽射しこそ強いものの快適に走る。
４時間足らずでファンランの街に到着、大衆食堂でお昼ご飯。
帰りはポー・クラン・ガライの遺跡に寄る。２０号線からはごく近い。
後はひたすら来た道を戻るだけ。しかし霧が晴れ、景色は随分良くなっている。
かなりの急坂ではあるものの、トラックやバスをスイスイ交わし、
ほぼ来たときと同じ時間で帰り着く。
今回、バイクに乗るのはこれで終わり。どうもご苦労様でした。
夜は郵便局で国際電話。屋台のブタマンを買うと、中にウズラの卵が入っててニッコニコ。
再び長距離バスでホーチミンへ
朝市でおみやげの布地を買い、
チェックアウトして徒歩で長距離バスターミナルへ。
ターミナル入り口で丁度出発する小型バスに拾われる。
料金は来たときよりずっと高くて100,000VND. でもビュンビュン飛ばしてるので、まぁいいか。
・・・と思ったのは大きなアヤマリで、このバス、道端に乗りそうな人がいるといちいち止まって、
乗ってかないか？と客引きを始め、しかも結構長々と口説くので時間が潰れる事おびただしい。
しかもBat Loc と言う街では、街を出た所でＵターンして元来た道を延々戻り出す始末。
何事が起こったのか緊張してたら、要するに補助席が３つ程空いていたので、
客を引き直してたのだった。
そんな努力の甲斐あって、バイク一台を含む満員の客に溢れかえったバスは、
一度の食事休憩を挟んで、やはり７時間半ほどの時間で無事にミエンドンにたどり着いた。
ミエンドン・バス・ターミナルでは例によってどっとおじさん達が寄ってきたが、
ベンタイン、バスとか言ってると、ちゃんとベンタイン市場行きのバスを教えてくれた。
なんて親切なんだ。
夜はファングーラオ通りでツーリングの無事を祝って、サイゴンビールで祝杯を上げる。
最終日
後は帰るだけ。
朝は散歩、国営百貨店でおみやげを買って、１２時にチェックアウト、映画館で時間を潰す。
その後バスに乗ってタンソンニャット国際空港へ、料金たったの2,000VND.
最後の最後に得した気分で、楽しい旅を終えました。
おわり。